初めてのDJミックスの作り方|2曲つなぐまでの4ステップ
コントローラーは買った。曲も入れた。でも「ミックスの作り方」が分からなくて、ただ曲を流すだけになっている——初心者のほぼ全員が通る道です。やることはシンプルで、曲選び→BPM合わせ→EQ→録音の4ステップ。まず2曲をきれいにつなげれば、それがもうミックスです。この記事では、最初の1本を録り終えるまでの手順を具体的に解説します。
ミックスの正体は「2曲の橋渡し」の繰り返し
60分のミックスも、分解すればやっていることは同じです。曲Aが終わる前に曲Bを重ねて、違和感なくバトンタッチする。この「橋渡し」を十数回繰り返しているだけ。だから練習の単位も2曲でいい。
初めての1本は、次の規模を目安にしてください。
| 項目 | 最初の目標 | 理由 |
|---|---|---|
| 曲数 | 2曲 | 橋渡し1回に集中できる |
| 長さ | 5〜8分 | 失敗しても録り直しが苦にならない |
| ジャンル | 1ジャンルに固定 | BPMとノリが揃い、つなぎやすい |
| BPM差 | ±3以内 | ピッチ調整が最小で済む |
ステップ1: 曲選び——「つながる2曲」の条件
最初の関門は選曲です。好きな曲を2曲選ぶのではなく、つながる2曲を選びます。
同じジャンル・近いBPMから選ぶ
たとえばHouseなら120〜130、Hip Hopなら85〜95あたりにBPMが集まっています。同ジャンルで固めるだけでBPM合わせが一気に楽になります。手持ちの曲をDJソフトに読み込み、BPM順に並べ替えて、数値が近い2曲を候補にしてください。
イントロとアウトロが長い曲を選ぶ
ボーカルが最初から入っている曲は、初心者には難物です。歌と歌がぶつかると一発で「事故」に聞こえる。イントロ・アウトロにドラムだけのパートが8〜16小節ある曲を選ぶと、重ねられる余白が広くて失敗しにくい。クラブ向けの「Extended Mix」と付いている音源はこの構造になっていることが多いです。
迷ったらキーもチェック
DJソフトは曲のキー(調)も解析してくれます。同じキーか隣接キーの2曲なら、重なった瞬間の響きが濁りません。深掘りは「BPMとキーの基礎」で。
ステップ2: BPM合わせ——まずSYNCでいい
2曲のテンポを揃える作業がビートマッチングです。
SYNCボタンで揃える
現行のDJソフトにはSYNC機能があり、ボタン1つで2曲のBPMとビート位置が揃います。「SYNCに頼ると上達しない」という意見もありますが、最初の1本はSYNCで構いません。先に「ミックスを完成させる体験」を作るほうが続きます。
耳で合わせる練習は並行して
とはいえ耳で合わせる力は後で必ず効いてきます。練習メニューはこうです。
- 片方のデッキで曲を再生し、ヘッドホンでもう片方の曲をモニターする
- テンポフェーダーでBPM表示を±0.5以内まで寄せる
- キック(ドン、という低い音)のタイミングがずれたら、ジョグを軽く触って位置を直す
- 1日10分、これだけを繰り返す
コツの詳細は「ビートマッチのコツ」にまとめています。
ステップ3: EQ——低音の「入れ替え」だけ覚える
2曲を同時に鳴らすと音がゴチャッと濁ります。原因のほとんどは低音のぶつかり。キックとベースが2曲分同時に鳴っているからです。
最初に覚えるのは1操作だけ
- 次の曲(B)を重ね始めるとき、BのLOW(低音)ノブを絞っておく
- 曲を入れ替えるタイミングで、AのLOWを絞りながらBのLOWを開く
これだけで「素人がボタンを押した音」から「DJのミックス」に化けます。MID・HIGHの使い分けは後回しでOK。詳しくは「DJのEQの使い方」へ。
つなぎの型(8小節ルール)
多くのダンスミュージックは8小節(4/4拍子で32拍)単位で展開が変わります。曲Aのアウトロに入ったら曲Bをスタートし、8〜16小節かけてクロスフェーダーとLOWの入れ替えをじわっと進める。この型だけで十分自然に聞こえます。
ステップ4: 録音——最初の1本を「完成」させる
つなぎが1回成功したら、すぐ録音まで行きましょう。録って初めて「作品」になり、聴き返して初めて上達します。
DJソフトのREC機能を使う
rekordboxもSerato DJ Liteも録音機能を内蔵しています。RECボタンを押す→2曲をプレイ→停止、でファイルが保存されます。追加機材は不要。機材別の詳しい手順や音量設定は「DJミックスの録音方法」で解説しています。
録ったら1回だけ聴き返す
チェックするのは3点だけ。
| チェック項目 | 見るポイント |
|---|---|
| ビートのズレ | 重なっている間、キックが「ドドッ」と二重になっていないか |
| 音量差 | 曲が替わった瞬間に急に大きく/小さくなっていないか |
| 低音の濁り | つなぎの最中、低音がモワッと膨らんでいないか |
3つとも合格なら、次は3曲、5曲と伸ばしていく。ダメでも録り直せばいいだけです。最初の10本は練習台と割り切ってください。
挫折しないための練習メニュー例
毎日60分やる必要はありません。1回20分で回せるメニューを置いておきます。
- 5分: 今日つなぐ2曲を決める(BPM順ソートから選ぶ)
- 10分: 同じ2曲のつなぎだけを3〜5回繰り返す
- 5分: 最後の1回を録音して聴き返す
「同じ2曲を繰り返す」のがポイントです。毎回曲を替えると、選曲に時間を食ってつなぎの練習量が減ります。同じペアを1週間続けて、目をつぶってもつなげるようになったら次のペアへ。この積み重ねが「相性の分かっている2曲」のストックになり、後々の選曲力に直結します。週単位の組み立ては「DJの練習方法」も参考に。
ちなみに機材はどれでも同じ練習ができます。入門定番のDDJ-FLX4(¥49,500)でも最安クラスのDDJ-FLX2(¥27,500)でも、この記事の手順はそのまま通用します。これから機材を選ぶ人はDJ機材診断で候補を絞るか、機材一覧で比較してください。
よくある質問
Q. 初めてのDJミックスは何曲くらいで作ればいいですか?
A. 最初は2曲で十分です。2曲を自然につなげるようになったら5〜6曲・15〜20分の短いミックスに伸ばしていくのが現実的です。いきなり60分に挑戦すると途中で崩れて挫折しやすくなります。
Q. BPMが違う曲同士はつなげますか?
A. つなげますが、最初はBPM差±3以内の2曲を選ぶのが無難です。差が大きいほどピッチ調整の幅が増えて曲の雰囲気が変わります。慣れるまでは同ジャンル・近いBPMの曲で練習してください。
Q. ミックスの録音には何が必要ですか?
A. PCDJなら追加機材は不要です。rekordboxやSerato DJ Liteには録音機能が付いており、ソフト上のRECボタンを押すだけでミックスをファイルとして保存できます。詳しい手順は録音方法の記事で解説しています。
まとめ
- ミックス=2曲の橋渡しの繰り返し。最初の目標は「2曲・5〜8分」でいい
- 曲選びは同ジャンル・BPM差±3以内・イントロとアウトロが長い曲
- BPM合わせは最初はSYNCでOK。耳合わせは1日10分の並行練習で育てる
- EQは「次の曲のLOWを絞って入れ替える」だけ先に覚える
- 録音して聴き返すところまでやって1セット。最初の10本は練習台